転職・起業に資格取得は有効か?
【はじめに】
サラリーマンを早期退職してこの世界に入って
実際に具体的な仕事を開始してから14年経ちました。
今振り返れば開業当初にそれなりの仕事に恵まれたのは
全くサラリーマン時代の人脈のおかげでした。
起業・開業のサクセス本や成功のノウハウ集といった
起業・独立を促すような書籍は数多く出版されています。
とはいえ、
やはり人脈のあるなし、偏らない幅広い人脈は
どんな業種で起業をしたとして、成功のための重要事項と
私個人としては確信しています。
今日は個人的な体験を基にしたコラムです。
【サラリーマン時代の人的交流】
人間誰しも面識のある人間とプライべーとな話をするものです。
新聞や雑誌をななめ読みする中で見知った名前や写真があれば
いったんは手を止めてその記事には注目するでしょう。
前職が会社員、サラリーマンであればそれだけで
社内には仕事を通じての交流が発生しますし、新卒定期入社であれば
部門が違い業務上の繋がりがなくても同期入社と言う絆は得られます。
その中で業務的に尊敬出来る、目標となるような上司や先輩、
気の置けない同期や同僚などの存在は個人事業者や自営業では
得難い人脈です。
この中で仕事以外でも気の合う仲間、公私にわたってお世話になった方
こういう存在がいれば、大きなポイントとなります。
さらに営業職であれば、社外での取引先との交流があります。
利害の相反する相手ではありますけれども業務を通じて切磋琢磨出来るような
存在は必ずあるはずです。
直接の現場担当者以外でも売り場責任者や、仕入れ権限のある管理職
さらには店長、社長、オーナー経営者までも含めれば社内での人脈以上に
自分にとって有意義な出会いとなる可能性を秘めています。
特に人の上に立つような有能な人物は
「案外こちらの言動をしっかり見ている」ケースが少なくありません。
~だからこそ、人の上に立てるのでしょうね…
こういう方々と仕事を離れた今でも交流があるという方は
大きなアドバンテージを持っていることを認識して下さい。
仕事の延長戦ではない=接待抜きの飲み会の場を持つことが出来る
仕事以外の話題で盛り上がれるような共通の話題を持っている
気軽に先方を誘える、誘われてストレスを感じない
このような関係であれば、貴方が起業・開業をした際には
必ず意識してくれていますし、業務に繋がるような出会いを仲介も
してくれるのです。
手前味噌になりますが、私が開業後最初の相談案件は
会社時代の最期に近い時期で担当していた大型取引先の
役職者からの案件でした。
その後もほんの数回だけ仕事で一緒になった
これもその会社のオーナーの方でしたが当時としては
まだ荷が重い案件を依頼してくれました。
こちらとしては全く想定外の存在であり
無論、開業のアピールや仕事の要請などはしていません。
又聞きのような形で私の開業を知り、連絡をしてくれたのです。
恐らく、ネット上での開業宣伝や
ブログやホームページの開設だけで良しとして
終日事務所に籠って相談の電話やメールが届くのを
ひたすら待ち望むような受け身のスタイルでは
何時まで経っても成果は上がらなかったでしょう。
相談を受ける側のこちらも
知り合いからの相談や知り合いの紹介での相談に対しては
絶対に裏切れない、
恥をかかせてはいけない、
メンツをつぶしてはいけない
という強い想いを抱くことになり、
その結果、いかなる相談者であっても
真剣に相談者の想いに寄り添うといった姿勢の育成にも
大きく役立ったと思っています。
【柔軟志向で仕事の需要を見つける】
私が従事する行政書士という資格は
非常に広範囲な業務に対応出来ます。
取扱いが出来る業務が多いということは
裏を返せば何を自分の主業務にすればいいかで
迷うことにも繋がります。
今人気の業務なら、便乗出来るかも?
~新人が簡単に食い込める訳がありませんよ!
今は人気でも2年後3年後も人気でしょうか?
あの人が成功しているなら同じ業務を自分も?
~事務所の立地場所、競合の有無、ニーズの有無は
千差万別です、貴方のエリアは異なるのですよ!
など等、迷い始めるとまさに迷宮に閉じ込められてしまいます。
かくいう私自身、開業当初は確固たる方針を決めておらず
漠然と同年代の相談案件を取り扱うという考えでした。
そういう情けない状況の中で
上記したように「思いがけない援軍」が現れたのです。
ただ相談内容は全く行政書士の業務ではなかったのです。
私の営業時代の経験談や起業を決断するまでの経緯といった
自分的には可も不可もないような事実を話してほしい
というものでした。
詳細は省きますが、私からすれば「やって当たり前」
「誰でもこんなことはやっているはず」といったものばかりで
今ではそれが出来ていない、分かっていないといったもので
講習会を始める直前までこんな内容で本当にいいのか?
と不安だらけでしたが、講習後は好評だったようで
同じ内容で名阪を始め数か所の地方拠点の開催となったのです。
もともと人前で話すことは大好きであり
おかげさまで人からも「トーク力には一目置く」
とも言われていたので内容はともかくやることに抵抗はありませんでした。
ですが、後になって耳にしたのは講習を依頼した理由は
「聞き上手だったから」講習会を依頼したとのことでした。
話し上手とは言われていましたが、聞き上手と言われたのは初めてで
こちらの言いたいことを全て話させてくれる、話せる雰囲気を作ってくれる
と言う点で依頼したテーマに沿った講習を間違いなくしてくれるはず、
と考えた結果だったそうです。
セミナーを要請してくれたのは先にも書いたように取引先のVIPです
業務以外で雑談を交えての会話など数えるほどで自分のこと等何の印象にも
残らない存在だと思っていたのですが、先方には違って見えたようです。
自分では気付けなかった強みを教えてくれるのは第三者であり
なかでも毎日顔を会わせる職場の同僚や頻繁に会う同期などよりも
社外の取引先や会社内でも他部門の方が多いような気がします。
起業に限らず、再就職や転職を目指す場合でも
自分の強み、弱みを正確に知るためにはいろいろな立場の他人から
どう評価されているかを知るべきですし、その為にも
前職が会社員であるならば、社内外の人間関係を積極的に
拡大しておくことで思いがけない出会いがあり、仕事の機会を
得ることに寄与するものと私は考えてます。
ダメな事例の紹介になりますが、私は開業後半年間は
何をメインにするかを熟考するだけで経過したのです。
本来ならここを決めてから起業・開業しなくてはいけません!
ようやく出した結論を基盤にした打ち出しにもかかわらず、
前述したように想定外の業務が初仕事になってしまいました。
ですが再度熟考を重ねた結果、売りは自分の経験であり
そこから導き出せる成功のノウハウ、失敗の回避の術、でした。
その結果、行政書士業務の範疇ではないはずの
「脱サラ起業のアドバイス」
「一味違う営業でのアプローチ」
「起業・独立を第二の人生にするなら」
といったテーマで集客を図りました。
特に当時は定年が視野に入る50代半ば以降のサラリーマンから
今から何をすべきか? 今の自分のウリは何か?
といった相談や、今の主力業務に繋がる高齢の親の問題や
逆に就職浪人の子供の問題などの相談が発生してきたのです。
第二の人生の為にどんな仕事に就くべきか、
起業・独立を検討するなら何から始めるべきかといった
一種の前向きな相談に始まり、必ず直面する高齢の親の介護や
相続の為の備えは何か?子供たちに自分の情報をどこまで伝えるべきか?
といった「終活相談」というまさに本業の要とも言える業務を見出しました。
さらに私と同じ「シニアのおひとり様」問題も
自分自身の環境や覚悟、備え等がリアルな事例として
受け入れられ、同じ立ち位置の方からの相談が増えたのです。
これまではいい大人が60才以降の生き方を
他人に(金を払ってまでして)相談するなんて「恥」「無駄」
といった風潮でしたが、実は相談相手が見つからなかったのではと
考えた結果が上記のような年代と人物を絞り込んでの営業活動で
安定した業務となったのです。
【終わりに】
このコラムを作成している最中にも55代前後の方から
退職前に起業・開業を目指したい、再就職や転職出来るような
ノウハウもスキルも自分にはないので。
こういったややネガティブな動機での起業相談を受けました。
ですが時間をかけてここまでの職務経歴を聞き出してみると
非常に面白い職務経験をしていた点やなぜ自分で気付かない?
といった優れた一面がすぐに指摘出来たのです。
本人はまさかそんなことが差別化になるんでしょうかといった
半信半疑どころか「一信九疑」位の反応でしたが最後は納得してくれました。
結果として起業オンリーではなく、転職も視野に入れての
仕事探しに軌道修正することになったのですが、
来所時の不安だらけの顔は一掃されてました。
50代以上で起業・独立を目指す場合には
まずは今までの自分の職歴、経歴、人脈を見直してみましょう。
どんな人間と付き合ってきたか、今も付き合いが続く人脈はあるか?
その人脈では自分はどういった評価をされているか、されてきたか?
そんなこと知ってどうする?
と思われるかもしれませんが、
案外そこに起業後の成功に大きく関係する人物がいたり、
仕事の差別化や気付きを得るための重要なきっかけが隠れているのですよ!