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唐辛子料理専門店「赤い壺」のアイデアで、定番の味に“うま辛”のエッセンスをプラス

国産唐辛子を駆使して料理や商品を“うま辛”に変える専門家

大須賀友美

大須賀友美 おおすがゆみ
大須賀友美 おおすがゆみ

#chapter1

唐辛子を駆使して看板メニューや商品を開発し、売り上げアップに貢献

 ファンの間で“激辛の聖地”と称される東京・表参道の唐辛子料理専門店「赤い壺」。飲食店を中心に、唐辛子の魅力を広く発信するべく事業を展開する「RAカンパニー」の代表・大須賀友美さんは、他店や食品会社とのコラボレートに注力しています。

 「個人店やフードコートのメニュー、市販のレトルトカレーやスナック菓子をはじめ“うま辛”で話題を集める料理や商品を考案しています。開発の目的や現状の課題を伺い、お客さまの既存のレシピやオペレーションをベースにして、数パターンの試作を経て完成を目指します」

 これまでに「看板料理を考えてほしい」「辛いだけで味に深みが出ない」「アルバイトでも簡単に扱える調味料を作りたい」といった相談に対応。

 兵庫発祥の濃厚豚骨ラーメンチェーンでは、唐辛子がスープに溶け込むよう粉末状にアレンジしたところ、メニューの売り上げが前年比の倍に達したとか。渋谷の商業施設では辛いものフェアを企画し、売り上げを4倍増に導いたこともあります。

 全国の契約農家から取り寄せた唐辛子を用い、「辛くてうまい」料理を提供してきた大須賀さん。根底には食への慈しみと生産者への敬意があります。

 「私の強みは『農家さんとの絆』です。旅先で畑を見かけたら声をかけたり、カプサイシンを研究する大学教授の紹介を受けたりして関係を築き、市場に出回らない希少種も含め約200種類の国産唐辛子が手に入ります。例えば焼き肉には薫製したもの、鍋料理には“だし”のような風味を持つ韓国種、隠し味にハチミツを加えるなど、提案したいことが山ほどあります」

#chapter2

父親は中華の料理人で「辛さはうまさ」が口癖。唐辛子に魅了され開業

 大須賀さんは大学を卒業後、都内の法律事務所に就職。法律事務の道を歩みますが「法廷よりも厨房で活躍したい」と、フードコーディネーターに転身します。

 「実家は岩手で中華料理店を営み、幼い頃から『辛さはうまさだ!』という父の口癖を聞いて育ちました。食を追求したい一心で、調理師学校を経て著名な料理研究家の下で修業しました。ファミリーレストランや弁当チェーンのメニュー開発に携わる中、ビビンバやユッケジャンのプロジェクトで唐辛子に魅了され、専門の料理店を開きたいと思うようになりました」

 資金調達にあたり、接客業に挑戦したことも。大切にしたのは「お客さまが何を求めているのか、先回りして行動する」という気配りで、洞察力やホスピタリティを生かし「赤い壺」も人気店に成長させます。

 「店名は中国の四川省にある豆板醤の名産地・郫県(ピーシェン)での経験に由来します。発酵用の茶色い容器が地平線の向こうまで並び、唐辛子の色素がにじみ出て“赤い壺”になったら食べ頃だと聞いて、感動して命名しました」

 元気を促すアドレナリンの分泌が増えるカプサイシンの恩恵を受けてきたことも開業の理由。中国や韓国、ベトナムといった国や地域の枠を超えた料理を提供しています。

 「お客さまの健康を支えることも大切な役目だと考えています。蓄えた知見を秘密にするのではなく、さまざまな料理人や商品開発者のアイデアと融合させ、新たなムーブメントを起こしたいですね」

大須賀友美 おおすがゆみ

#chapter3

台湾や香港でも商品を展開し、オンラインショップではキムチやカレーを販売

 数々のメディアで取り上げられ「激辛界のパイオニア」と紹介される大須賀さん。仕事のモチベーションは、表参道の店舗を離れた場所でも「唐辛子っておいしいね」と耳にすること。しかも自身が手掛けた料理や商品であれば、喜びもひとしおだと言います。

 「激辛カルチャーの普及に携わってきた身としては、生産者の方々が土壌や栽培方法、天日干しの期間、熟成の手法などにこだわっている点も訴求していきたいと思っています。香ばしい辛さとフルーティさを併せ持ち、化学調味料にはまねできない本当の“うま辛”を実現してファンの裾野を広げ、労に報いたいですね」

 手塩にかけて育てられた素材の良さを引き出すため、創意工夫を凝らす大須賀さんと協業を望む店舗や企業は国内外に及びます。香港や台湾では激辛ラー油や、魚と肉の料理に特化した一味などを展開。特に富裕層の間で人気があり、現在はアメリカの商社からも打診を受けています。

 多くの人にオリジナル商品を楽しんでほしいと、「赤い壺」ではオンラインショップも開設。韓国を代表する料理研究家と作ったキムチ、ギョーザや唐揚げにも使えるドレッシング、レトルトのビーフカレー、パスタやピザによく合うペーストなどを販売しています。

 「今後は、辛い料理の後に食べたくなるようなスイーツもプロデュースし、口にする方々にひとときの幸せや爽快な余韻を届けたいですね。唐辛子の生産者も含め、私とのコラボに興味のある方はぜひご連絡ください」

(取材年月:2025年4月)

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Profile

専門家プロフィール

大須賀友美

国産唐辛子を駆使して料理や商品を“うま辛”に変える専門家

大須賀友美プロ

フードプロデューサー

株式会社RAカンパニー

都内の唐辛子料理専門店「赤い壺」の代表がメニュー開発をサポート。本格的なひと皿の考案からお手軽調味料のプロデュースまで広く要望に応える。全国の農家と関係を築き、約200種の国産唐辛子を扱えるのも強み。

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